2026.7.23
開発
ビジネス

「AIを活用しろと言われているが、正直、何から手をつければいいかわからない」——これは、AI導入に関するご相談の中で最も多く聞く言葉です。
世の中にはAI活用の成功事例があふれています。しかし、他社の事例を眺めても「うちの業務のどこに使えるのか」はなかなか見えてきません。ツールを導入してみたものの現場に定着しなかった、という話も少なくありません。
実は、「何をAI化すればいいかわからない」という状態は、恥ずかしいことでも遅れていることでもありません。むしろ、そこから正しい手順で進めることが、AI活用を成功させる一番の近道です。
この記事では、AI活用の出発点である「課題の見つけ方」と、開発会社との理想的な進め方について、当社の実体験を交えてお伝えします。
目次
AI導入プロジェクトの失敗パターンとして典型的なのが、「手段が先、課題が後」になってしまうケースです。
「AIを導入する」こと自体が目的になると、現場の実態と噛み合わないツールが選定され、結局誰も使わなくなります。「チャットボットを入れたが問い合わせは減らなかった」「議事録AIを契約したが数ヶ月で使われなくなった」——こうした話の多くは、ツールの性能ではなく、解くべき課題の設定がずれていたことが原因です。
一方で、「課題はあるが、それがAIで解けるかどうかわからない」というのも自然な状態です。AIで解ける問題と解きにくい問題の見極めには、技術側の知見が必要だからです。
つまりAI活用には、業務側の課題認識と、技術側の実現可能性の判断を突き合わせるプロセスが不可欠です。ここを飛ばして進めると、どれだけ優れた技術を使っても成果にはつながりません。
良い課題設定には、共通する特徴があります。
それは、「誰の、どの作業の、何の困りごとか」が具体的に言えることです。
「業務を効率化したい」では課題設定として粗すぎます。「経理担当者が毎月月初に行う交通費精算のチェック作業に丸2日かかっており、他の業務を圧迫している」——ここまで具体化できれば、AIで解けるかどうかの判断が可能になり、解けるなら最短の作り方も見えてきます。
そしてこの具体化は、業務の現場を知っている人にしかできません。逆に言えば、現場の困りごとを言葉にできれば、AI活用の半分は終わっているとも言えます。
残りの半分——「それは技術的にどう解けるか」「どこまで自動化できて、どこは人が判断すべきか」——を埋めるのが、開発パートナーの役割です。
2026年4月、マイスター・ギルドでは全職種参加のAIハッカソンを社内で開催しました。エンジニア・営業・デザイナーが混ざった11チームが、「業務効率化」をテーマに実質5時間で動くプロダクトを開発するという取り組みです。
このハッカソンで、運営側の想定を超える光景がありました。
テーマが「業務効率化」だったため、開発中のメンバーがその業務に詳しい社内メンバーのところへ要件をヒアリングしに行く動きが自然に生まれたのです。技術に詳しいメンバーが他チームに教えに行く動きもあり、「作る人」と「業務を知る人」が行き来しながら開発が進んでいきました。
この動きから生まれたプロダクトは、いずれも実務への解像度が高いものでした。
注目すべきは、これらがすべて「まず課題ありき」で作られたことです。技術のデモンストレーションではなく、「この困りごとを解決したい」から出発したからこそ、5時間という短時間でも実務に通じるものが生まれました。
要件を聞ける人がすぐそばにいる環境では、開発はここまで速く、正確になる——これが、ハッカソンで得た最大の学びのひとつです。
ハッカソンでの経験は、そのまま顧客企業との開発のあり方にも当てはまります。
システム開発でよくあるすれ違いは、「発注側は業務を知っているが技術がわからない」「開発側は技術を知っているが業務がわからない」という分断から生まれます。要件定義書のやり取りだけでこの溝を埋めるのは、実は非常に難しいことです。
だからこそ当社が重視しているのは、対話しながら一緒に課題を具体化していく進め方です。
「何をAI化すればいいかわからない」という段階からご相談いただければ、業務の困りごとを伺いながら、「それはAIで解けます」「それは別のアプローチが良いです」「まずこの部分だけ試しましょう」という交通整理から一緒に行います。動くものを早い段階でお見せしながら進めるため、「イメージと違うものができあがる」リスクも抑えられます。
AI活用において開発会社に求めるべきは、言われたものを作る「制作力」だけではなく、課題の言語化から並走する「提案力」です。
「何もわからない状態で相談していいのか」と迷われる方も多いのですが、完璧な準備は不要です。ただ、以下の3つをざっくり整理しておくだけで、相談の質が大きく上がります。
① 現場の「困りごと」を集めておく
解決策はわからなくて構いません。「この作業に時間がかかっている」「これが属人化していて困る」という現場の声を、粗くてもいいので集めておくと、課題設定の出発点になります。
② 「誰が一番困っているか」を把握しておく
AI活用の要件整理では、実際にその業務を担当している人の協力が不可欠です。ヒアリングに協力してもらえる現場のキーパーソンが誰かを把握しておくと、その後の進行が格段にスムーズになります。
③ 「まず試す」規模感で考えておく
最初から全社導入を前提にすると、判断も投資も重くなります。「まず1つの業務で小さく試して、効果を見て広げる」という前提で相談すると、現実的な提案を受けやすくなります。
マイスター・ギルドでは、「何をAI化すればいいかわからない」という段階からのご相談を歓迎しています。
業務の困りごとのヒアリングから、AI活用方針の整理、小規模なPoC開発、実運用への引き上げまで——社内ハッカソンで培った「課題起点の開発」の知見をもとに、貴社の状況に合わせて伴走いたします。
漠然としたご相談で構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。
株式会社マイスター・ギルド
https://www.m-gild.com/
