2024.7.3
ビジネス
今回の記事は、ARを小売業界で活用するためにはどうすべきかについて書いています。
2021年以降、日本でも「リテールテック」が急速に進んでいます。
リテールテックとは、小売業にデジタル技術を導入して新たなサービスを生み出すことなのですが、もう少し詳しく説明すると、リテールテック(Retail Tech)は、小売業界においてテクノロジーを活用して業務を効率化し、顧客体験を向上させるためのソリューションや技術の総称です。
リテールテックは、デジタル化の進展に伴い、さまざまな技術が導入され、急速に発展しています。
リテールテックは、新型コロナ禍以前から小売業界において大きな役割を果たしてきており、電子商取引(EC)の成長と並行して、今後も長期的な成長が見込まれています。
以下は、リテールテックの主要な要素についての具体的な説明です。
販売時点での取引を管理するシステム。売上管理、在庫管理、顧客データ収集などが可能です。
トランザクションの迅速化、在庫のリアルタイム追跡、顧客購買履歴の分析によるマーケティングの最適化。
スマートフォンやタブレットを使って支払いを完了できるシステム。Apple PayやGoogle Payなどのモバイル決済アプリが普及しています。
支払いの簡便化と迅速化、非接触決済による感染リスクの低減、顧客の利便性向上。
顧客が製品を仮想的に試すことができる技術。バーチャル試着や仮想店舗の体験が可能です。
オンラインショッピングの体験向上、返品率の低減、インタラクティブな顧客体験の提供。
顧客データを分析し、パーソナライズされたおすすめ商品やプロモーションを提供する技術。チャットボットによるカスタマーサポートも含まれます。
マーケティングの効果向上、顧客エンゲージメントの強化、効率的なカスタマーサポート。
顧客の購買履歴、行動データ、ソーシャルメディアのデータなどを収集・分析する技術。
トレンドの把握、販売戦略の最適化、在庫管理の効率化。
センサーやデバイスを通じてリアルタイムでデータを収集し、ネットワークを介して情報を交換する技術。スマートシェルフやビーコンなどが含まれます。
在庫管理の自動化、店舗の運営効率向上、顧客行動の追跡と分析。
オンラインとオフラインのチャネルを統合し、一貫した顧客体験を提供する戦略。
顧客がどのチャネルを利用しても一貫したブランド体験を提供できる、顧客の購入プロセスのシームレス化。
そのなかでも、今回は小売業における拡張現実(AR)について書いてみます!
まず、はじめに。
米国の小売業界では、拡張現実(AR)が急速に普及しています。米国の拡張現実(AR)利用者数についての最新のデータを基に、2023年の状況をお伝えします。以下の点に焦点を当てて説明します。
図:米国におけるAR利用者の推移(2020~2025年)
2023年のデータによると、米国のAR利用者数は1億1,000万人を超えています。この数は、全人口の約3分の1に相当し、過去数年間で急速に増加しています。特に、スマートフォンの普及とともに、ARアプリやゲームの利用が増えていることが背景にあります。
ARの利用は若年層で特に高い傾向があります。以下は、年齢層別の利用状況の概略です。
18〜24歳: 最も高い利用率を示しており、約60%が何らかの形でARを利用しています。
25〜34歳: 利用率は約50%と高く、特にショッピングやソーシャルメディアでの利用が多いです。
35〜44歳: 約40%がARを利用しており、エンターテインメントや教育コンテンツが人気です。
米国の小売業で拡張現実(AR)の利用が増えている理由について、以下のポイントを挙げて具体的に説明します。
試着の手間を省く: 顧客は自宅からでも服やアクセサリーを試着することができ、実際に店舗に行く必要がありません。これにより、時間と労力が節約できます。
返品率の低減: 購入前に製品のフィット感や見た目を確認できるため、返品や交換の頻度が減少します。これにより、顧客満足度が向上します。
詳細情報の提供: 店舗内で商品にスマートフォンをかざすと、製品の詳細情報やレビュー、使用方法などが表示されます。これにより、顧客は購入決定をしやすくなります。
インタラクティブな体験: ARを利用したゲームやインタラクティブなプロモーションにより、顧客は楽しい体験をしながら商品に触れることができます。
高性能デバイスの普及: 高性能のスマートフォンが普及し、ARアプリの利用が一般化しています。これにより、より多くの顧客が簡単にAR体験を利用できるようになりました。
精度とリアリズムの向上: AR技術の進化により、よりリアルで直感的な体験が可能となっています。これにより、顧客は商品を実際に手に取るような感覚を得ることができます。
コストの低減: AR技術のコストが低下し、小売業者が導入しやすくなっています。初期投資が少なく済むため、中小企業でもARを利用したサービスを提供できるようになっています。
競争優位性の確保: 小売業界の競争が激化する中で、AR技術を活用することで他社との差別化を図ることができます。独自のAR体験を提供することで、ブランドの魅力を高めることができます。
顧客エンゲージメントの向上: インタラクティブなAR体験により、顧客のブランドに対するエンゲージメントが高まります。これにより、リピート購入や口コミによる新規顧客獲得が期待できます。
若年層のテクノロジー志向: 特にミレニアル世代やZ世代は、テクノロジーに対する期待が高く、ARを含む新しいショッピング体験を求めています。これに応えることで、若年層の顧客を引きつけることができます。
COVID-19パンデミックの影響: パンデミックによる店舗閉鎖や外出自粛により、オンラインショッピングの需要が急増しました。AR技術は、オンラインでの購買体験をリアル店舗に近づけるための重要なツールとなりました。
小売業でのAR利用が増えているのは、顧客体験の向上、技術の進化とコストの低減、市場競争の激化と差別化、そして消費者の期待と行動の変化といった多くの要因が重なっているからです。これらの要因により、小売業者はARを積極的に導入し、競争力を強化しています。
日本の小売業界でも拡張現実(AR)の利用が進んでいます。AR技術は顧客体験を向上させ、購買行動を促進するための強力なツールとして認識され、多くの企業が導入を進めています。以下に、日本の企業がどのようにARを活用しているか、その具体例とトレンドを紹介します。
ユニクロは、ARを活用したバーチャル試着アプリを導入しています。これにより、顧客は自宅からでもスマートフォンを使って商品の試着が可能です。これにより、オンラインショッピングの不安を軽減し、購入意欲を高めています。
参考:https://news.mynavi.jp/techplus/article/20121015-a039/
資生堂は、ARを利用した化粧品のバーチャル試用アプリを提供しています。顧客は、スマートフォンやタブレットを使って、自分の顔にメイクを試すことができ、購入前に色や質感を確認できます。
参考:https://www.shiseido.co.jp/sw/simulation/index_pc.html
コンビニエンスストアのローソンは、店舗内でのAR体験を提供しています。特定の商品にスマートフォンをかざすと、商品の詳細情報やプロモーション情報が表示される仕組みです。
参考:https://www.lawson.co.jp/lab/karaagekun/art/1485098_5304.html
無印良品は、ARを活用して家具やインテリア商品の視覚化を行っています。顧客は、自宅の部屋に商品を配置してみることで、実際のサイズ感やデザインの確認ができます。
参考:https://www.muji.com/jp/app/ie/
トヨタは、ARを利用した従業員向けのトレーニングプログラムを導入しています。ARを使って、複雑な組立作業やメンテナンス手順を視覚的に学ぶことができるため、効率的な教育が可能です。
参考:https://www.toyotasystems.com/product/pdf/Guides.pdf
日本のメーカー小売業界においても、ARの利用が拡大しており、顧客体験の向上や購買行動の促進に寄与しています。企業は、AR技術を活用することで、競争力を強化し、顧客満足度を向上させています。今後もAR技術の進化と普及が進む中で、さらに多くの企業がARを導入し、その効果を享受することが期待されています。
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