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大規模なシステム開発プロジェクトの特徴や課題と対策

システム開発には、多くのリソースが必要となるものや携わる人数が多い、大規模なプロジェクトもあります。このコラムでは、大規模プロジェクトの特徴と、課題や対策を解説いたします。

大規模システム開発のプロジェクトとは?

大規模プロジェクトのシステム開発とは、規模が大きく、複雑なシステムを設計、開発、導入、運用するプロセスを指します。この種のプロジェクトは、多数のステークホルダーが関与し、高度な計画、管理、技術的スキルが必要です。その特徴を以下に簡潔にご紹介します。

規模の大きさ

  • 開発するシステムが複数のモジュールやサブシステムで構成される。
  • 多くのユーザーや機能を対象とする。

複雑性

  • 業務要件が高度で多岐にわたり、技術的にも複雑。
  • 多くのシステムやデータが連携する必要がある。

リソースの多さ

  • 多数の開発者、プロジェクトマネージャー、デザイナー、テスターが参加。
  • 長期間にわたる開発や大規模なインフラが必要。

リスク管理の重要性

  • 失敗の影響が大きい(コスト、時間、社会的影響など)。
  • リスク回避や問題解決の体制が必須。

大規模プロジェクトに明確な定義はないですが、上記のような特徴があるプロジェクトが該当します。

大規模プロジェクトの失敗例の主な原因と具体例

大規模プロジェクトの失敗は、リソースや時間の大きな浪費だけでなく、組織や社会に大きな影響を及ぼすことがあります。以下に失敗例の具体的なパターンや実際の事例を交えながら解説します。

1. 要件定義の不十分

  • 原因:
    • ユーザーやステークホルダーの要望が正確に把握されず、不明確な要件のまま進行。
    • 要件変更が頻発し、計画が崩れる。
  • 実例:
    ある公共システムの開発では、導入予定の機能が市民ニーズに合わず、多額の費用をかけて開発されたものの利用されなかったケースがある。

2. 過度なスコープ拡大(スコープクリープ)

  • 原因:
    • プロジェクト中に追加機能の要望が次々と発生し、計画以上の作業が必要になる。
    • 優先順位が曖昧で、リソースが分散する。
  • 実例:
    欧州連合のITプロジェクトで、システム開発のスコープが大幅に膨らみ、予定予算の3倍以上の費用がかかったが、完成まで至らなかった。

3. 技術的な問題

  • 原因:
    • 使用する技術がプロジェクトの要求に適さなかったり、チームが技術を十分に理解していない。
    • 古いシステムとの統合が困難。
  • 実例:
    米国のある州で行われた税務システムの刷新プロジェクトでは、最新技術の採用が難航し、既存システムとの連携が失敗。結果として、既存システムの稼働も停止する事態に陥った。

4. スケジュール遅延

  • 原因:
    • 作業量の過小評価や、予期しない技術的課題。
    • 人材不足やチームのコミュニケーション不全。
  • 実例:
    イギリスの国家健康サービス(NHS)の電子カルテシステムプロジェクトは、スケジュールが大幅に遅延し、最終的に数十億ポンドを投じた後に中止された。

5. コミュニケーション不足

  • 原因:
    • 開発チーム、クライアント、サプライヤー間の連携が不十分。
    • チーム内で目標や進捗状況の共有がされない。
  • 実例:
    ある多国籍企業のERP導入プロジェクトでは、グローバルチーム間のコミュニケーションが不足し、導入後に機能が想定通り動作せず、多くの手戻り作業が発生した。

6. リスク管理の失敗

  • 原因:
    • 予測されるリスクに対する対応策がない、または不十分。
    • 問題発生時の迅速な対応ができない。
  • 実例:
    日本国内のある鉄道会社の運行管理システムでは、災害時のバックアッププランが欠如しており、運行が長時間にわたり停止。社会的批判を招いた。

7. コスト超過

  • 原因:
    • 初期の予算見積もりが甘く、計画以上に費用がかかる。
    • 無駄なリソース投入やスコープ拡大が影響。
  • 実例:
    シドニー・オペラハウスの建設プロジェクトは、当初予算の10倍以上のコストがかかり、完成が予定より10年以上遅れた。

失敗を防ぐための対策

大規模なシステム開発プロジェクトにおいて、上記のような失敗を防ぐために、下記5つのような対策をとることが重要となります。

1. 明確な要件定義

ステークホルダーと密接に協議し、システムが解決すべき課題や必要な機能を具体的かつ文書化して定義します。不明確な要件や曖昧な目標が進行中の混乱を引き起こすため、最初の段階で詳細な要件を整理することが重要です。また、要件変更が発生する場合には、変更管理プロセスを導入し、影響範囲を分析して計画に反映させます。

2. プロジェクト管理の徹底

プロジェクトの進捗やスケジュール、予算を正確に把握するために、プロジェクト管理ツールを活用します。定期的なレビューを行い、計画と実績を比較しながら早期に問題を発見します。また、タスクの優先順位を明確にし、必要に応じてリソース配分を調整することで、遅延や予算超過を防ぎます。

3. リスクマネジメント

プロジェクト開始時にリスクを洗い出し、それぞれのリスクの発生可能性と影響を評価します。その上で、リスク対応計画を策定し、リスク発生時には迅速に対処できるよう準備します。リスク管理は一度だけでなく、プロジェクト全体を通じて定期的に見直しを行い、新たなリスクに備えることも必要です。

4. チーム間の効果的なコミュニケーション

チーム内外での情報共有を徹底するために、定期的な会議、進捗報告、専用のコラボレーションツールを活用します。また、異なる部署やステークホルダー間の認識のズレを防ぐために、目的や役割を明確化します。全員が同じ目標に向かって動けるよう、透明性のあるコミュニケーションを心掛けます。

5. スコープ管理の厳守

プロジェクトのスコープを明確化し、追加機能や要件変更が発生した際には、影響範囲や優先順位を適切に評価します。不要な機能の追加を防ぎ、プロジェクトが膨らみすぎないよう制御することが重要です。クライアントやステークホルダーとも合意を形成し、スコープクリープを未然に防ぎます。

上記のように大規模システム開発プロジェクトの成功には、計画、実行、管理、コミュニケーションのすべてが高い水準で求められます。過去の失敗例から学び、対策を講じることで同じ過ちを繰り返さないことが重要です。

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MeisterGuild(マイスター・ギルド)広報

最先端技術のMEISTERを目指し、お互い切磋琢磨するGUILD、になりたい株式会社マイスター・ギルドです。Webシステム/サービス開発、スマホアプリ開発、AR/VR/MR開発など、さまざまな情報を発信します。

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