2025.10.28

Webシステム開発やアプリ開発の現場で、最も多いトラブルの一つが「要件定義の不備」です。
「思っていたシステムと違う」「納期が遅れた」「追加費用が発生した」——これらの多くは、開発そのものではなく要件定義の段階でのズレから生まれます。
要件定義とは、「何を」「なぜ」「どのように」作るのかを明確にする工程です。
この工程がしっかりしていれば、開発は驚くほどスムーズに進みます。逆に、あいまいなまま進行すると、設計・実装・テストすべてで手戻りが発生し、コストもスケジュールも膨らんでしまいます。
この記事では、Webシステム開発を成功に導くための「要件定義のコツ」を、現場経験に基づいて4つのポイントに整理して解説します。
目次
要件定義の第一歩は、ビジネス上の目的を明確にすることです。
多くのプロジェクトでは「こんな機能が欲しい」という要望から始まりますが、なぜその機能が必要なのかが明確になっていないことがよくあります。
たとえば、
目的が異なれば、設計も開発手法も優先順位もまったく変わります。
要件定義は、単に機能リストを作る作業ではありません。
「なぜ作るのか」を言語化し、開発全体のコンパスを定める工程なのです。
システム開発の目的が明確になったら、次に行うべきは「現状業務の可視化」です。
現場の作業手順やデータの流れを整理することで、「どこに無駄があるか」「どの部分を自動化できるか」が見えてきます。
たとえば、注文受付〜出荷〜請求処理までの流れを図にするだけでも、ボトルネックや手入力箇所が明確になります。
ここを飛ばして要件を作ると、「現場の実態と合わないシステム」になりがちです。
また、現行システムの課題点(処理速度・データ不整合・操作の煩雑さなど)を洗い出しておくことで、開発側が改善すべきポイントを的確に把握できます。
Tip:
現場ヒアリングの際には「理想」を聞くより、「困っていること」「いつ時間がかかるか」を重点的に質問するのが効果的です。
要件定義では、単に「何ができるか」だけでなく、「どんな品質で動くか」も定義する必要があります。
これを意識して整理するだけで、開発トラブルの多くを未然に防げます。
→ システムが実際に“行うこと”を定義します。
例:
→ システムの“品質”を定義します。
例:
非機能要件は軽視されがちですが、実はシステムの安定性・ユーザー満足度に直結する要素です。
とくにクラウド環境やAPI連携を前提とした開発では、パフォーマンス要件を明確にしておくことで、後々のトラブルを防げます。
ポイント:
要件書には「何を実現するか」だけでなく、「どのレベルで実現するか」を明記する。
これが、開発会社との“認識のずれ”を防ぐ最大のコツです。
要件定義は、開発会社と発注企業の間だけの文書ではありません。
営業・マーケ・経営層・現場担当者など、関係者全員が理解できる内容でなければ意味がありません。
これを防ぐには、「誰が読んでも分かるドキュメントづくり」を意識することが重要です。
また、要件定義の段階でプロトタイプ(試作UI)を共有するのも非常に有効です。
「ドキュメントだけで合意」するより、見て触って理解できることで、後戻りリスクを最小化できます。
補足:
実務ではNotion・Figma・Miroなどのツールを使い、コメントベースで要件をレビューできる環境を整えると効率が上がります。
要件定義は、仕様をまとめる作業ではなく、関係者全員の認識をすり合わせるためのプロセスです。
目的を明確にし、業務を見える化し、機能・非機能を整理し、わかりやすくドキュメント化する——
この流れがしっかりしていれば、開発フェーズ以降は驚くほどスムーズに進みます。
特にWebシステム開発では、要件定義の質がプロジェクト全体の成功率を80%以上左右するとも言われます。
「とりあえず作る」ではなく、「なぜ・何を・どう作るのか」を共通認識として固める。
これこそが、開発をスムーズに進める最大のコツです。
WEBシステム開発をご検討の方は、要件定義から対応できる大阪のWEBシステム会社「マイスター・ギルド」にご連絡ください。

